パレルモ市街の中心地を離れ、海沿いを北に進むこと2km程度、喧噪はげしいパレルモの中心街とはまるで別世界、静寂さに包まれたゆったりとした時間が流れる場所にこのホテルは建っています。市街地から離れているために、車を運転していくかタクシーで行かなければならないために、アクセス条件は不便かもしれませんが、それも贅沢な空間でゆったりとした時間を過ごすための必要条件と考えれば、不便とも感じないでしょう。
ホテルの建物は、もともとパレルモの海運王として財を成したフローリオ家が、療養所として建設したヴィラ(邸宅)で、それを1900年初頭にバレージがホテルとして転用することを計画し、ホテル用に改装されたという背景を持っています。
ホテル敷地への入口は、ホテルの山側を通っている通り側にあります。敷地に入り、入口を背に右方向に進むと駐車スペースがあり、建物の見える左方向に進むとホテル建物への入口が見えてきます。海運王の建物を転用した、などと聞くとさぞかし豪華なエントランスがドドーンとあるのでは、などと思ってしまうかも知れませんが、簡素であり品の良さを感じる落ち着いたエントランスとなっています。
ホテル建物に入ると当然レセプションがありますが、そこも廊下の一角にちょっとカウンターが設置されていて、その前に品の良い椅子がさりげなく置いてあるようなとてコンパクトにまとまったレセプションです。ただしその廊下は、白い壁と天井に囲まれた空間の中を赤い絨毯が真っ直ぐに伸びており、それ自体がとても良い空間を醸し出しています。
一歩部屋に足を踏み入れると、落ち着いた感じは十分感じさせながらも、比較的モダンなインテリアと設備を備えた空間となっています。スタンダードなツインの部屋でも、ドアと居住空間の間の荷物スペース、広めの居住空間とピンク系の大理石で色調が統一されたバスルームと十分にくつろぐことが出来る間取りとなっていました。宿泊する部屋によってもちろん窓の眺めは異なるのでしょうが、この部屋からは敷地内に広がる庭園と庭園の向こうに広がる海とパレルモの市街を遠くに眺めることが出来ました。建物の構造上どの部屋も海には面しているようなので、どの部屋からも遠くにパレルモの街を眺めることは出来そうです。
建物と海岸線の間には、ホテルの庭園が広がっています。庭園部分には、南国情緒溢れる木々や色鮮やかな花などが植えられており、その間を縫うようにして散策が出来るような道が張り巡らされています。庭園内にはプールもあり、夏であればプールサイドでのんびりなんて言うのも悪くないでしょう。庭園の建物正面部分には広々としたスペースがあり、週末の夜には地元の挙式パーティーが開かれていたりします。広々とした庭園でも、一旦パーティーとなると多くの人が集まり、密度が高くなり、結構賑やかな雰囲気に包まれるものです。この庭園の中には、小さな花で作られたかわいいカレンダーがあるので、散策途中に見つけてみましょう。もちろん毎日の日付は正確です。
この庭園に面した一階には、ホテルのレストランがあります。テラスのような場所にあるので、ディナーの際にはパレルモの海から吹く夜風を肌で感じながら、ゆったりとした食事を楽しむことが出来ます。ちなみに朝食時には、すがすがしい朝の太陽を感じながら食事が出来ます。
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