「カプリ」って聞いたことあるよ。詳しくは知らないけれど、どこにあるのか知らないけれど、名前は聞いたことがある。日本人には、なぜだか馴染みのあるカプリ島。ちょっと知っている人であれば、カプリと聞いて真っ先に思い起こされるのが「青の洞窟」だろう。 カプリ島は、ソレント半島の突端から目と鼻の先にあり、ナポリ近郊の島の中ではイスキア島とともに非常に有名なリゾート地です。実際のところカプリ島は観光客でごった返していますが、それでものんびりとした雰囲気が漂っており、人を引き寄せる不思議な魅力を放っています。 島の観光をしてもよし、新鮮な魚介類に舌鼓をうつもよし、地元のさっぱりした白ワインを飲みまくるもよし、とにかく小さいこの島を楽しみ尽くそう。 カプリ島の行き方 カプリ島に行くためには、高速船やフェリーといった船を利用しなければなりません。そしてカプリ島行きの船は、ナポリ・ソレント・アマルフィー海岸などカプリ島の近くの多くの港から運行されています。最も近いソレントからであれば片道30分もかかりませんし、ナポリからでも片道1時間弱と、手段は船に限られていますが、その運行場所・本数ともに比較的多くアクセス条件は便利であるといえましょう。 そしてこれらの船は、カプリ島の玄関口、マリーナ・グランデ(Marina Grande)に到着します。そして、ここから早速様々なカプリ島観光が始まります。 何はさておき『青の洞窟』 あまりにも有名な青の洞窟(Grotta Azzurra)は、カプリ島観光のメッカ的存在。洞窟の周りには、団体客のチャーター船やカプリ島観光の乗合船や個人所有のクルーザーや陸路からの観光客があつまってきます。人が集まってくるだけで大したことがないんじゃないかと疑いたくもなりますが、色の綺麗さ、冒険性、希少性などを総合すると、やっぱり一見の価値ありです。カプリ島にいったら、やっぱり『青の洞窟』へ行こう! 青の洞窟への行き方 青の洞窟への行き方は、大きくわけて「海ルート」と「陸ルート」の二通りあります。そのどちらかを選択するかは、カプリ観光の目的にあわせて選択すればいいと思います。 カプリ島の海を堪能したい、陸の方は後でゆっくりまわる、という事であれば「海ルート」を選択すればいいでしょう。海ルートにも何種類かあるので時間や目的と相談しながら決めればいいでしょう。青の洞窟だけで十分というのであれば、マリーナ・グランデから出ている青の洞窟行きの船に乗ればいいでしょうし、それ以外のところも見てみたいというのであれば、マリーナ・グランデから出ているカプリ島一周ツアーを利用すればいいでしょう(もちろん青の洞窟にも行く)。 カプリ島の街もまわりながら行きたい、船には慣れていないので船酔いが心配、という人には「陸ルート」がお薦めです。陸ルートでは、先ずマリーナ・グランデからちょっと左に行ったところに乗り場があるフニコラーレ(Funicolare)に乗ってカプリ(Capri)に行きます。余談ですが、フニコラーレに乗ると決めたら、船を下りたら何はさておきフニコラーレ乗り場に向かい切符を買いましょう。そうしないと船から下りてきた人で乗り場はあっという間に混雑してしまいますから。またここでマリーナ・グランデ〜アナカプリ間の往復切符を買うことが出来ますので、買ってしまった方が便利でしょう。 フニコラーレを降りたら目の前のウンベルトI世広場(Piazza Umberto I)を直進します。50mも進まないうちに小さなバスターミナルを見つけることが出来るでしょう。そしてそこからアナカプリ(Anacapri)行きのバスに乗ります。バスは結構混むときがありますが、出来ることならば進行方向右側の席に座りましょう。そうすると途中で海のパノラマを楽しみながら行くことが出来ます。そんなこんなしながらしばらく行くと、急に周囲が賑やかになります。ここがアナカプリです。 アナカプリ観光の中心地ヴィットリア広場(Piazza Vittoria)で多くの人がおりますので一つの目印として覚えておいてください。ここで一旦降りてアナカプリ観光という手もありますが、アナカプリは先ずは無視して先に青の洞窟へ向かいましょう。なぜなら、青の洞窟は午前中の方が綺麗なので、一刻も早くついた方がいいのと、船の到着する時間は決まっているので到着後は青の洞窟の陸からの船乗り場が混みやすいといった理由からです。 ヴィットリオ広場を先に進み、バス停を二つくらい行ったところにさびれたバスターミナルがあるので、ここでバスを降りましょう。といってもバスはいちいち止まってくれないので、注意してヴィットリオ広場からバス停を一つすぎたら下車ボタンを押してしまいましょう。カプリ島にしてはちょっと大きい広場風のバスターミナルの中央部分から青の洞窟行きのバスは出発します。 このバスの料金はバスの中で払います。乗るときに運転手に払いましょう。料金は他のバスやフニコラーレと同じ料金です。このバスに乗ってしまえば、後は青の洞窟に到着するのを待つばかりです。細い道路を通ってバスは進んでいきますが、途中歩いて青の洞窟を目指す人がいたりします。まあアナカプリから10kmくらいなら歩いても1時間くらいなので、時間に余裕がある人は歩いてみるのも一つの手かもしれませんね。 バスは洞窟の上に到着します。バス停のあるところからは、何カ所か下に降りる所がありますが、どこを降りていっても青の洞窟への小舟の船着き場にはたどり着けます。バスが着いたら急いで船着き場に向かいましょう。船に乗る順番は、早い者勝ちですから。 いざ、青の洞窟内へ 「海ルート」の人は、ここでマリーナ・グランデから乗ってきたボートから手漕ぎの小舟に乗り換えます。ただ、すぐに小舟に乗り換えられるわけではありません。小舟の数は限られており、しかもある船頭はこのボートに付き、他の船頭は他のボートに付くといった感じなので、混雑しているときはかなり待たなければならなくなりそうです。話を聞くと、この揺れる船の上で待っている間に船酔いしてしまう人も少なからずいるようです。 「陸ルート」の人は、小さな船着き場から手漕ぎの小舟に直接乗り込みます。足場がしっかりしているのでとても乗り込みやすい上に、小舟を待っている間もボートのようには揺れないので船酔いする心配もありません。後、何となくですが、陸の船着き場の方が回転が早いような感じがします。 さて無事小舟に乗り込んだら、いよいよ青の洞窟へ、と思うのですが、すぐには行きません。先ずは料金を払いに来ます。料金を支払う窓口となる専用ボートが、洞窟の入口の前に停まっており、そこでちゃんと決められた料金だけを払うようなシステムとなっていました。イタリアなのに、無茶苦茶合理的な仕組みにちょっとびっくり。きっとこの様なシステムが生まれた背景には、船頭のボッタクリなどが横行したのでしょう。それらの苦情が集められた結果、この様なボッタクリが出来ないシステムとなったのでしょう。因みに2000年9月時点で、洞窟入場料と小舟代合わせて1人15,500リラでした。 この料金を払ったら、今度こそ『青の洞窟』に入ります。洞窟の入口は狭く高さも低いために、入るときには小舟の上で寝そべったような姿勢をとりながら入っていきます。このことは船頭さんからも注意されます。洞窟への入口は本当に小さく、船頭さんも櫂で漕いで進むことが出来ないため、出入りの時は船頭さん自身も姿勢を低くして、岩場に沿って打ちつけられた金属の鎖を手繰りながらボートを進めていきます。そのため出入りの時に姿勢を高くしていると鎖で痛打します。実際に、船頭さんが鎖を手繰っている前の写真を撮った後、私は鎖で痛打しました。他にも私の友人ではいるときに、同様に鎖で痛打して、洞窟内部でずーとブルーになっていたそうです。皆さん、気を付けましょう。 洞窟内部は別世界です。海面下から独特の青い色が、光の塊となって次々と溢れ出てくるようです。洞窟の中に入った小舟は、時計の逆周りに一周します。中に入っている間に、船頭さんはこの洞窟について説明してくれます。この洞窟の歴史に始まり、広さや深さについてイタリア語で説明し得くれます、その船頭さんの説明によると、入口の近くが最も綺麗な青色をしているのです。洞窟を一周している間に、洞窟の入口からはいってくる光と洞窟の青色のコントラストを楽しむことが出来ます。でも先ほど述べたように入口近くに小舟がいて、その真下から独特な青色がわき出してくるようなところがやっぱり最高です。 洞窟に入ってからは、もう時間の感覚が全くわからなくなりました。洞窟を入る時点から、出てしばらくしてまでアドレナリンが出っ放しでした。おそらく数分間洞窟の中に入ってられるのですが、この数分は本当に一瞬に感じられます。 洞窟から出てきたら、最後にチップを船頭さんに渡して、この一大スペクタクルは終わります。チップの額は、特集でも書いてありますが、自分の気持ち次第です。チップはあくまでも義務ではなく気持ちなので、もし自分がとても楽しく観光が出来たのであればチップをはずんいいと思いますし、ぎゃくに非常に不愉快に過ごしたのであればもちろんチップは必要ありません。このあたりのバランスは、皆さんがイタリア旅行の中で培ってきた感覚から妥当と思う額を支払えばいいと思います。 青の洞窟での日本人 青の洞窟では日本人が非常に多いです。カプリ島の他の地域で日本人に会うことが出来なくても、ここであれば会うことが出来ます。それはやはり日本においてこの青の洞窟が非常に有名であることもあると思いますが、それ以上に日本からの団体ツアー客の多さが目立つからです。それは青の洞窟の美しさや知名度からすると当然のことだと思います。ただ一点、とても不愉快に思える事を見てしまいました。それは以下のようなことです。 通常、洞窟に入る手漕ぎの小舟には4人が乗っています。ところが日本の団体客が乗っているマリーナ・グランデからのボートではこの常識が通じず、6人もの人が狭い手漕ぎの小舟に詰め込まれているのです。日本人として、この光景を見て愕然としました。皆4 人乗りの中自分たちだけが6 人乗りにさせられて文句も言わない人達もそうですが、それよりもこんなツアーを容認した中でツアー主催者に対して腹が立つのです。限られた時間の中で色々なところをまわらなければいけないのでしょうが、日本人が馬鹿にされるようツアーだけは主催して欲しくないものです。、旅慣れた人ならともかく、多くの人達は言われたことに従うしかないのですから。もし旅行関係者の方が、このページを見たのなら、是非今一度この6人乗り小舟を辞めるようにしてください。この光景を客観的に見ていると、日本人だけが馬鹿にされカモられてい用に諸外国の人から見られてしまいますから。 青の洞窟観光のポイント ポイント1 - 青の洞窟は午前中がお薦め 青の洞窟は日の照っている間であれば入ることが出来ますが、いつでも同じ光景が見れるのかというとそうではないらしく、一日の中でもその光景を変えるそうなのです。一日の中でも、最も青の洞窟を美しく見られる時間帯は午前中だそうです。光が洞窟に入ってくる具合が、この時間帯に最も良くなり、青の色が鮮やかに綺麗に見えるそうなのです。だから青の洞窟観光は、是非午前中に行いましょう。 ポイント2 - 入れないこともある 文中でも紹介しましたが、青の洞窟への入口は非常に小さいために、波の高さや潮の高さによって、入場できないことがあります。ここまで来て入場できないのは悔しいですが、従うより他ありません。いくら天気が良くても、風が強くて波が高く入れなくなることもあります。限られた日程の中ではもはや運試ししか残されていませんね。 ポイント 3 - 「海ルート」or「陸ルート」 私は「陸ルート」を薦めます。海ルートだと見られるところが限られてしまうのに対し、陸ルートでは青の洞窟観光の後に、アナカプリ観光を始めとする島内観光をすることも出来るからです。観光という点に関して「海ルート」だと、またマリーナ・グランデから観光し直さないといけません。それに小舟を待っている間でも、陸地にいるために地面は揺れず、船酔いの心配もありませんよ。 カプリとその周辺 マリーナ・グランデからのフニコラーレが到着するウンベルトI世広場(Piazza Umberto I)は、カプリの中心的存在。マヨルカ焼きの文字盤を持つ時計台はとっても綺麗です。フニコラーレ乗り場、バスターミナル、タクシー乗り場といった島内の交通網が集まっているので、人の往来もとても賑やかです。また広場に面するサント・ステファノ教会(Sant Stefano)はアラブの伝統にのっとったクーポラとバロック様式とを折衷して再建されており、その独特な形をしたクーポラは、広場の雰囲気を作り出すのに一役かっています。 サン・ジャコモ修道院 カプリを南に少し歩いたところにサン・ジャコモ修道院(Certosa di San Giacomo)はあります。入口には真っ直ぐ延びた並木道があり、雰囲気をかもし出しています。修道院内部には美術館もあり、青の洞窟から見つかったローマ時代の彫刻を見ることが出来ます。 修道院の周りを囲む道にある売店で、レモンのグラニータ(まあレモンのかき氷のようなもの)を食べたのですが、これが絶品でした。レモンそのものの味が豊かに口中に広がり、もう何杯でも食べれてしまいます。またこのそばにはカルトゥーシア(Carthusia)という香水ショップがあります。このショップについては後で詳しく紹介します。 自然の造形美 島の東部には天然のアーチと呼ばれる所や展望台が各所にあるのです。日帰りでここまで回ることは結構難しいですが、もしここの島に数日滞在するのであればこちらの方にも足を伸ばしてみたいものです。我々は日帰りで訪れたものですから、こちらの方はいけませんでした。ただもう一度来る機会があれば、数日間滞在して島の各所に点在する、自然の造形美を楽しみたいものです。 アナカプリとその周辺 アナカプリ観光の拠点となるヴィットリア広場は、いつも観光客で大混雑です。広場の突き当たりにはブランドものが買えるようなショッピングセンターがあり、この前もまた人で混雑しています。 ショッピングセンターに向かった広場の右手にはソラーロ山頂へのリフト乗り場が広場に面してあります。リフトをしたから見上げると山頂までずーと長く続いているので上までたどり着くのに一体どれくらいの時間がかかるのだろう、と不安になってしまいますが、実際に乗っている時間は15分くらいでした。時間のある方は、是非トライしてみましょう。カプリ島の一大パノラマが目の前に広がりますから。またソラーロ山頂にはリフトを使って行くだけでなく、徒歩で行くこともできるそうです。大体一時間くらいの登山だそうです。体力と時間のある方、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。 ソラーロ山 山頂ではカプリ島の周囲360度のパノラマを堪能できます。例えば東の方に目をやるとカプリの街とその先にはソレント半島が見えたりします。またソレント半島方向のちょっと南に目をやると、ファラリオーニの岩島群が見えたりします。また何ともうらやましいと思ったのが、南側の断崖の真下を見てみると、そこの浅瀬部分に無数のクルーザーが停泊しているのです。ビーチなんて制限がなく綺麗なところにはどこでも自分の船で行ってしまう彼らのヴァカンスは本当にうらやましい。と思わずぼやきたくなります。 また山頂にはバールがあり、そこのバールの前にはなぜか日焼けのためのデッキチェアーが置いてあり、そこで日焼けを楽しむ人々が沢山いました。どうしてだろう???近くにこんなに綺麗な海があるのに、何でわざわざこんな所で。。。不思議だ。 サン・ミケーレ荘 ショッピングセンターに向かった左手に行くと、両脇におみやげ屋さんやレストランなどが立ち並ぶ路地(Via Capodimonte)にでます。ほぼ真っ直ぐに延びる路地は、ショッピングを楽しむ人やこの先にあるサン・ミケーレ荘に行く人や帰ってくる人で混雑しています。しばらく進むと目的地のサン・ミケーレ荘(Villa San Michele)に到着します。 スウェーデン人の医師によって立てられたこの荘にはいるのは有料です。内部には収集されたアンティークが数多く陳列されています。また庭園の先にあるテラスからは、マリーナ・グランデ方向の眺望を楽しむことが出来ます。またこのテラスからは、マリーナ・グランデからアナカプリに続いているフェニキア人の階段(Scala Fenicia)を見ることが出来ます。 サン・ミケーレ教会 ヴィットリア広場から、バス通りをわたって、ショッピングセンターとは反対方向に進むと、アナカプリの人達が生活している色合いが少しずつでてきます。そんな生活色が見える中にサン・ミケーレ教会(San Michele)は建っています。この教会の見処はなんと言っても、マヨルカ焼きのタイルで覆われた床面です。ちなみにこのタイル画は、地上の楽園を表しているそうです。入口のすぐそばにらせん階段があり、これを使うと二階に行くことが出来ます。二階に上がるとタイル画の全体を見ることが出来ます。 カプリ島内での移動手段 マリーナ・グランデ−カプリ間のフニコラーレや島内のバスは料金がどれも同じです。経済的に旅行しようと思ったら、これらの手段を使う方がいいでしょう。バス以外にもタクシーもありますので、とにかく時間優先で旅行される方はタクシーを利用することもできます。 公共交通機関で混雑するのは、マリーナ・グランデ−カプリ間のフニコラーレとカプリ−アナカプリ間のバスです。特に夕方近くなってくると島を離れる人が多くなってくるために、アナカプリからカプリに向かうバスは非常に混雑します。そのためにアナカプリに到着した時点ですでに満員になっており停まらずに素通りしてしまうバスも出て来るくらいです。ヴィットリア広場にはバス待ちの長蛇の列ができます。そんなときはヴィットリア広場の列には並ばないで、青の洞窟行きのバスが出るバス停の方に移動しましょう。そこにも人が並んでいたならば、更に遠くに歩いていきましょう。そしてカプリ行きのバスが来たら乗ればいいのです。またカプリからマリーナ・グランデに向かうフニコラーレも非常に混雑します。そのため、どちらにしても帰りの時間は余裕を持って見ておいたが方が良さそうです。