|
モンレアーレの町は、パレルモの町の喧噪を離れ、南西方向に8km、標高310mのパレルモを見渡すことが出来る山の上に建てられた町です。街自体は非常に小さく、落ち着いた感じのする町ですが、パレルモを訪れる観光客の多くがモンレアーレの町も観光で訪れるために、ある意味パレルモに負けない活気を呈していると言うことが出来ます。観光客比率が高いと言うことで。
バスで行く場合は、パレルモのノルマン王宮のそばにある、インディペンデンツァ広場(Piazza indipendenza)から出ている、モンレアーレ行きのバスに乗ります。 車を運転していく場合は、ヴィットリオ・エマヌエーレ大通り、カラタフィミ大通り、州道186号線と続く通りをひたすら南西方向に、真っ直ぐに進みます。市街地を抜け山道を少し登ればモンレアーレに到着します。
そうです、ここにあるドゥオモとベネディクト会修道院の回廊付の中庭が、モンレアーレの見どころです。 ドゥオモ モンレアーレの最大の見どころは、このドゥオモでしょう。1174年にグリエルモ2世によって建てられたものなのです。ドゥオモが建てられたこの時期には、もう一つの見どころでもある修道院などが同時に建てられています。 さて、ドゥオモの正面にまわりファザードを見てみると、左右に建つ塔の高さや大きさがまちまちなことに気がつくでしょう。これは左の塔が未完成なために、左が低くなってしまったのです。ただ、もともと左右の塔は非対称のデザインなので、完成していたところで、良く見られる左右対称のファザードとはちょっと異なるものになっていたのでしょう。そしてこの左右の塔をつなぐように柱廊があるのがちょっと珍しいかも知れません。全体としてみると、パレルモの大聖堂と同じようにどっしりと構えた作りをしていて、アラブっぽい曲線を多用した装飾は、オリエンタルやイスラムの影響を感じずにはいられません。 中にはいると、このドゥオモがモンレアーレの一番の見どころである理由がすぐに理解できると思います。身廊全体を覆うように施されたビザンチン式の黄金のモザイクは素晴らしいの一言です。ガイドブックを見ると、シチリア=ヴェネツィア様式と書いてあったりしますが、そもそもヴェネツィアのモザイクはビザンチン様式なんですよね。左右の壁面には連続した、旧約・新約聖書の物語が、身廊には創世記の物語が、それぞれ描写されていています。そこから内陣にかけてはキリストを中心に、聖母、天使、使徒、聖人などが描かれています。特に後陣中央には位置されたキリストの存在感は圧倒的です。 またこのドゥオモではクーポラの上に登ることが出来ますので、「疲れるのはいやだ!」という人以外は是非登ってみたいものです。登り口は、身廊内部右手にあります。係員がいるので、料金を払ってから登ります。たまに係員がいないときもあるかと思いますが、そんな時は戻ってくるまで待ちましょう。途中の道のりは人がすれ違うことが出来ないほど狭い通路であったり、急な階段であったりと大変ですが、道程の途中では修道院の中庭の全体像を上から眺めることが出来たり、タイルできれいに飾られたクーポラの壁面を見られたりと、とても楽しく進むことが出来ます。 クーポラ上部にたどり着くと、一人一人本当にクーポラのてっぺんを堪能することが出来ます。このクーポラの上部は非常に眺めが良く、眼下にモンレアーレの町だけではなく、パレルモ市内、その先の地中海まで見渡すことが出来、とてもすばらしい眺望を楽しむことが出来ます。 ちなみに、このドゥオモを建てたグリエルモ2世ですが、先ほどパレルモのパラティーナ礼拝堂も建てたと紹介しましたが、こちらの方に眠っています。町を見渡すところになんて、まるで徳川家康のようですね。 回廊付の中庭 さてドゥオモと並んで、モンレアーレの見どころにあげられるのがここのベネディクト会修道院の回廊付の中庭です。ここは先ほど紹介しましたが、グリエルモ2世によりドゥオモと同時期に建設されたのです。中庭は228本の円柱によってアーチ状になっている回廊に囲まれておりいます。この228本の円柱ですが、一本一本モザイク装飾がされており、とてもきれいです。現在でははげ落ちてしまった円柱もありますが、建設当時は全部がきれいな円柱であったことを考えると、とても華やかな回廊だったことでしょう。また円柱の柱頭の装飾が、全部異なっているところなど芸が細かいこと、感心してしまいます。 この回廊の一つの隅に、一本の不思議な柱が立っています。この円柱は、シュロの木をイメージして造ったものなのだそうだが、何ともおかしな形をしています。小さな泉(らしい)に立っていることを考えると、ひょっとしたらオアシスか何かをイメージしたのかな?シュロの木ですから。なんて勝手な想像ですけれどね。 |