トラーニの町 全都市表示 サイトマップ トップへ

トラーニ
Trani

 アドリア海の海岸に位置し、船乗りと農民が暮らす町トラーニの起源は、ホメロスの叙事詩イリアスの英雄ディオメデスの息子ティッレーノにもとづいているそうなのです。また、トラーニという町のもととなった「トゥレヌム(Turenum)」という名前は、二世紀の有名なローマ人の旅行記「タブラ・ペウティンゲリアーナ(Tabula Peutingeriana)」から引用されているそうです。
 そのような由緒ある町トラーニは、中世にはアドリア海の南部交易の拠点として栄えた町の一つとして数えられ、その事実を示すかのように、「オルディナメンタ・マリス(Ordinamenta maris)」という中世における最も古い海商法が残っています。
 また13世紀には、カステル・デル・モンテを建築したフェデリコ2世によって拠点都市の一つに位置付けられ、海に突き出した独特の構造を持つ城が建てられ町の強化が図られました。その後16〜19世紀の数世紀間、トラーニは「テッラ・ディ・バーリ」の県庁や裁判所の所在地であり、さらに20世紀まではプーリア州の控訴院もおかれていました。

■トラーニの見どころ
 トラーニの見どころはなんと行っても、まるで海に突き出してそびえ立っているようなこの町の大聖堂でしょう。

大聖堂
 サン・ニコラ・ペッレグリーノ大聖堂(Cattedrale di San Nicola Pellegrino)は、1056〜1186年の間に建てられ、上下二層の教会が重なったかたちで建てられています。この大聖堂は、そのすばらしさから「プーリアの大聖堂の女王」や「プーリア地方のロマネスク様式の教会の傑作」などと呼ばれています。
 あたかも岬の先端に、ポツンと建てられたように見える大聖堂ですが、これは1950〜1960年にかけての修繕によって出来上がった孤立とも言えます。この時に18世紀の古い教会を壊し、建築構造上のオリジナルの復元を図るために根本的な修繕が行われたために、現在のようなすばらしい景観を得ることが出来たのです。
 地元産の石材を利用して建造されており、プーリア州特有とも言えるピンクかかった色が強烈な日差しを反射し、まるで黄金色に輝いて見えるように美しい外観をしています。正面ファザードの上層には、アーチが連続していて、その中心に扉口があります。この扉口の周りは、びっしりと模様が施されていて、中央の扉口の重厚感を増幅しているようです。正面からの景観もさることながら、地元の人が釣りをしている更に海に突き出た防波堤の方から後陣を眺めたときのその堂々たる姿は圧巻です。

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