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ポンペイ
Pompei

 西暦79年8月24日のヴェスヴィオ火山の噴火によって、一瞬にして都市の生命を断たれてしまったことであまりに有名な都市ポンペイ。一つの都市全部を一瞬にして飲み込んでしまった噴火とは一体どんなものだったのだろうか。都市全体が火山灰に埋もれ続けていたために、発掘が始まるまでの間の15世紀以上にわたって、ローマ時代の街並みをそのままの姿で保存している唯一の都市となってしまったとは、何とも皮肉なことです。
 広大な遺跡の中に身を投じ、一つ一つが大きな石で敷かれた大通りに立っていると、けたたましいウマのひずめの音と車輪がまわる音を立てながら、走り去って行く馬車が見えて来そうな気さえします。リアリティーと空虚さが同居するこの魅力的空間に、是非足を運んでみましょう。

ポンペイへの行き方
 ナポリから鉄道を利用するのであれば、ヴェスヴィオ周遊鉄道(Circumvesuviana)を利用した方がいいでしょう。この鉄道は、ナポリ中央駅の地下ホームから出発しています。経路は行き先によって何種類かありますが、ソレント行きの電車に乗りましょう。そしてヴィッラ・デイ・ミステリ駅(Stazione Villa dei Misteri)で下車し、少し歩けばもうそこがポンペイ遺跡への入口となります。
 ソレント方面から来る場合は、逆にヴェスヴィオ周遊鉄道のナポリ行きに乗り、同様にヴィッラ・デイ・ミステリ駅で下車すればいいのです。
 またポンペイ遺跡だけではなく、ポンペイ市街の方にも行きたい場合は国鉄を利用した方がいいようです。

ポンペイのまわり方
 ポンペイはいわば一つの都市を見学するわけですから、見る場所も広ければ、見処も沢山あるということは言うまでもありません。そのため色々なまわり方が考えられますので、自分の見学プランにあうようなまわり方を選択してはいかがでしょうか。

ツアーに参加してまわることは、ポンペイの遺跡を見学する上で一番手っ取り早くて楽な方法でしょう。日本の出発から到着するまで全てツアーのパッケージ旅行を利用してポンペイに来るならば、ほぼガイド(もしくはツアー添乗員がそのままガイドとなる)がついてまわれるはずです。また、全てが含まれているパッケージツアーではなくても、イタリア現地の旅行代理店が募集している日本人向けのポンペイ一日ツアーなんかを利用することもできます。ツアーに参加してまわることの利点は、なんと言っても遺跡の中の主だったところを効率的にまわることが出来て、さらにこれらに対する日本語による説明を受けることが出来る点にあるでしょう。遺跡全体が見処なために、全てを自分自身で調べあげていくことは大変です。自分で調べるのは面倒くさいから主なところだけの説明を受けながら回れればいいやという人や、持っているガイドブックだけでは不十分なのでもっと色々なところをまわってみたいと思っている人であれば、ツアーに参加する価値は結構あると思います。

ガイドを雇ってまわることは、ポンペイでは比較的選択しやすい選択肢であるといえます。なぜならば、マリーナ門にある入場券売場のところの辺りにガイドが多く立っており、ガイド引き受けますと言っている人がいたり、自分から積極的に客引きをしている人がいたりするからです。ツアーには参加しなかった(参加できなかった)が、遺跡の主要部分を説明付でまわりたいと思っている人には利用価値大でしょう。自分専用のガイドとして雇ってもよいと思いますし、その場で出来るグループでガイドを付けてもいいと思います。これはツアーにもいえることですが、ガイドが着くとガイドブックには載っていないようなところに連れていってくれたり、様々な説明をしてくれると言った利点がありますよね。ただし、ツアーに参加するときとちょっと異なり、ガイドを雇うときは説明が英語であるという点には注意してください。日本語の出来るガイドは多くありません。日本語が良いときは、やっぱりツアーに参加しましょう。

自力でまわることも、もちろん可能です。ただし自力でまわるならば、広い遺跡をどの様に見学してまわるかと行った下準備などが必要になります。「時間もあまりないので、ちょっとした時間で大まかにさっと見学したいから、簡単なガイドブックで良いんだよ。」ということでなければ、ある程度しっかりとしたガイドブックなどが必要になってきます。そのためには、日本から自分で良いと思ったガイドブックを持っていくのが一番良いと思います。もしあまり頼りにならないガイドしか持っていなくて、それでも自力である程度しっかりとまわりたいというのであれば、遺跡にはいる前に切符売り場のそばにある書店で、日本語のガイドブックを購入してから入場しましょう。この様なガイドブックにはかなり細かい部分までの説明が載っていたりするので、結構使えるのです。そして、始めにどの様にまわるかを大体決めてから遺跡の中を見学しましょう。自力でまわることの最大の利点は、なんといっても、自分のペースで見学できることです。調べたりするのは大変ですが、のんき気ままというのは良いものです。

 どの様な回り方をするにせよ、せっかっく世界遺産のポンペイに来たのですから、小一時間だけ適当に見て帰ってしまうということは止めたいところです。どんな形にせよ、ツアーに参加するにせよ、ガイドを雇うにせよ、自力で調べるにせよ、ポンペイを知ろうとすれば楽しみもまた広がりますから。

遺跡見学の心構え
 広い都市の遺跡を見学するわけですから、ある程度の持ち物や服装などの準備にも気を配りたいものです。どの様なことに気を付けて準備をしたらよいのかを、ここでは少し紹介したいと思います。

【服装について】 やっぱり歩きやすい軽装にすることは、絶対に必要だと思われます。ちゃんとまわろうと思ったら、短くても半日、普通なら丸一日見学に必要です。しかもそのあいだ動きまわっているわけですから、軽装が必要なことは容易に想像がつくでしょう。

【靴について】 なんといっても重要なのが『靴』です。スニーカー・ウォーキングシューズ・トレッキングシューズなどの、歩きやすい靴を履いていきましょう。遺跡内は石畳といっても、大きな石が敷かれているために、石と石の間の継ぎ目の部分の段差は結構あります。そのようなでこぼこしたところを歩き回るわけですから、歩きやすい靴が必要なことも容易に想像がつくでしょう。

【夏の暑さ対策】 夏の遺跡の中は、とにかく熱いです。その上、遺跡という性質上、日陰が少ないです。たまに木陰がある一帯があったり、屋根のある家の内部を見学しているときくらいは、直射日光を避けることが出来ますが、それ以外のところでは、常に直射日光にさらされると思った方がいいでしょう。日射病予防のためにも、是非帽子を持っていきましょう。それから水も携帯しましょう。遺跡内にバールがあるのは、フォロの北側の一ヶ所です。それ以外で水は買えませんので、熱射病予防のためにも水を携帯し、いつでも飲めるような準備をしておきましょう。

ポンペイの歩き方
 ポンペイ遺跡の見学は、ヴィッラ・デイ・ミステリ駅よりマリーナ門のそばの入口、もしくは新市街より円形闘技場のそばの入口から始まります。まあ多くの人はマリーナ門側の入口から見学をはじめるのではないでしょうか。
 さて、ポンペイの主な見処は、その都市構造や発掘の進行状況のために、かなり集中している傾向があります。主な見処は、フォロ(Foro)の周辺、大劇場(Teatro grande)の周辺、スタビア浴場以東の住宅・商業地(この地区は、1911年に始まった新発掘地区となっており、出土品をなるべくそのままにして保存するような努力が払われているらしく、街並みもちょっと異なっていますので、注意してみてみてください。)、円形闘技場の周辺、フォロの北側の住宅街、秘儀荘の周辺に集中しています。
 ただ、遺跡内の説明をはじめると、きりがなくなってしまうので、遺跡内の詳しい説明はツアーガイドやガイドブックに譲り、ここではガイドに載っていないような、見ておきたいところと、知っておくとちょっと面白いようなところを、紹介してみたいと思います。

ファウヌスの家(Casa dil Fauno)
 悲劇の詩人の家(Casa del Poeta tragico)の前にある「Cave canem(犬に注意)」というモザイクは有名で、絵はがきになっていたりしますが、この家の前の歩道にも「HAVE(こんにちは)」というモザイクが残っています。知っていないと気付かないくらいですが、行ったときには是非見てきてください。
 またここの家の広間の床からは、現在ナポリの考古学博物館に展示されている「アレクサンドロス大王とペルシャ王ダレイオスの戦闘」の大モザイク画が発見されているのです。是非ともナポリの考古学博物館の実物も見て、昔を想像してみたいものです。

ヴェッティの家(Casa dei Vetti)
 この家にはいると先ずは一枚のフレスコ画の歓迎を受けます。それはチンポを持つ厄除けのプリアポスのフレスコ画です。このフレスコ画を見て一番喜んでいたのは、やはりというか、おばさま方でした。中には大声を出して笑っている人も。
 さて内部も非常にすばらしいのですが、それに対する説明はガイドブックに譲り、また下ネタを。さて中に入って右側の方に進むところがあるので行ってみてください。婦人用の部屋なのだそうだが、そこにあるものは、これまたでっかいちんちんを持った男性の像(正面から撮ってしまったのでチンポは見えにくいです)と男女のセックス中のフレスコ画が数枚12あります。まあ入口のプリアポスくらいだったらガイドブックに載せられるけれど、さすがにここまで来ると載せられないよね。

ルパナーレ(Lupanare)
 白水社のイタリア語辞典によると「lupanare: 娼家、淫売屋」とあります。まあ平たく言えば売春宿です。そりゃーガイドブックには載せられないよね。我々も売春宿があったことは知っていましたが、それが現在公開されているとは知りませんでした。たまたま話しかけられた、この遺跡で働いているおじさんから聞いて知ったのです。因みに彼はここのことを、Casa di Amoreといって教えてくれました。絶対に見に行けと言われたので行ったのですが、まさか売春宿とは思いませんでした。
 場所はアッボンダンツァ通り(Via dell'Abbondanza)をフォロの方から進みスタビア浴場(Terme stabiane)手前の路地(名前をルパナーレ路地(vicolo del Lupanare)といいます)を左折ししばらく進むと左手にあります。この辺りに行けば人だかりが出来ていますから、そこで間違いないです。一応ちゃんとLUPANAREの表示もありますし。
 建物自体は小さく、入口もひっそりとしています。中にはいると、いくつかの部屋への入口が見えます。部屋とはいっても中はとても狭く、その奥に一段高くなった石のベットがある程度です。こんな狭いところでよく...といった感じがします。また部屋の入口の向かいの壁の上部にはヴェッティの家にも見られたような、男女のセックス中のフレスコ画が何枚か残されていました。ポンペイ人って、本当に好きだったんでしょうね。
 ポンペイには税務登録簿によると25もの売春宿があったそうで、ここはそのうちの一つだそうです。税務登記きちんとされ営業されていたことも驚きですが、それ以上にそのような登記簿が残っていたことの方がもっと驚きですよね。まあ、いつの時代も人の世は変わらぬと言ったところでしょうか。

ポンペイのパノラマ
 遺跡の北東部に、秘儀荘(Villa dei Misteri)へ行くときに通る、エルコラーノ門(Porta di Ercolano)があります。そしてこの門を出たらすぐに右に曲がりましょう。すると壁に沿って真っ直ぐに進める道と、ちょっと上に上がる道とがあります。そこを上に登ってみてください。そして登ったら更に右手に進んでください。しばらく行くと、眼下にはポンペイの遺跡が広がっています。遺跡の中に身を置いているとわかりにくいのですが、一段高くなったところから見ると、改めてポンペイ遺跡の大きさや整備された都市であったことがわかります。
 なんの気なしに進んでみたところ、最後にこんなにもすばらしいパノラマを見られ、とても感動しました。始めは私だけでズンズンと進んでいったのですが、一旦戻り、すばらしいから絶対に行かなければダメだと、もう疲れてグロッキー状態だった妻を無理矢理に連れていきましたが、彼女も感動していました。是非行ってみてください。

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