カゼルタの町 全都市表示 サイトマップ トップへ

カゼルタ
caserta

 カゼルタは、ナポリのほぼ真北に位置しており、カゼルタ県の県庁所在地です。県庁所在地とはいっても、観光でこの町を訪れる人であれば、現在の市街地部分にはほとんど用がないはず。ここを観光で訪れる人の目的は、ただ一つ。それはユネスコの世界遺産にも指定されている王宮です。

カゼルタの行き方
 カゼルタへのアクセスはナポリからが便利でしょう。ナポリからは、電車とバスを利用することが出来ますが、バスを利用した方が乗り継ぎをせずに行けるので便利でしょう。
 バスは、ナポリ中央駅前のガリバルディ広場から出ています。高速道路を利用していくバスと、路線バスの二種類ありますが、やっぱり高速道路を利用する高速バスを利用したいものです。高速バスはC1R路線で、バスの車体の色は青が目印です。切符は広場内に切符売り場があるので、予めそこで購入しておきましょう。
 バスはカゼルタ駅近くに到着しますので、王宮までは歩いてすぐです。

『王宮』を歩こう!
 ブルボン家のカルロス7世によって、18世紀に建てられたこの王宮は、建築家ルイジ・ヴァンヴィテッリによって設計されました。そしてその設計の際に手本とされたのが、フランスのベルサイユ宮殿だったそうです。残念ながら彼はこの王宮の完成を目にすることなく亡くなってしまいましたが、その意志は息子のカルロに継がれ、彼の手によって完成されました。
 この歴史ある王宮は、「見る」というよりも「歩く」という感じが、ぴったり当てはまる感じがします。なぜならとても広いからです。ゆっくりと歩いてみようと思ったら、丸一日はかかることを覚悟しなければならない程です。
 王宮の見処は大きく「宮殿部分」と「庭園部分」の二ヶ所に分かれており、それぞれに入場券を買わなくてはなりません。入場券を購入する場所は、宮殿正面の入口をはいったすぐ左手にあるチケット売場、一ヶ所なのでいちいちその度に購入するよりも、予めまとめて買ってしまった方がいいでしょう。

宮殿
 宮殿(Palazzo Reale)は、綺麗な長方形をした五階建ての大きな建物です。そしてこの宮殿の総部屋数は、なんと1200室にもおよぶとか!すごいですね。一日一部屋ずつ使っていったとしても、一年では使いきれず、三年以上かかると考えると、そのすごさをあらためて実感してしまいます。でも、こんな事を考えるなんてなんて私は小市民なのだろう。
 宮殿への入口は、チケット売場をしばらく直進した宮殿建物の中央部分右手にある、大階段(Scalone d'Onore)を上りきったところにあります。また、大階段入口の正面には、ファルネーゼ家コレクションであったヘラクレス像が置かれていますので、行きがけにちらっと見てみてはいかがでしょうか。
 さて豪華絢爛といった言葉がぴったりと当てはまる大階段を上っていくと、その途中にはこの宮殿を建てたカルロス7世がライオンにまたがった姿の像が置かれています。まあこれもいい石を使って豪華に仕上げています。そして更に階段を上ると玄関広間(Vestibolo Superiore)にたどり着きます。この広間に着いたら、是非天井を見上げてみましょう。白い色の格間が渦巻きのような模様になっています。玄関広間の正面には、パラティーナ礼拝堂(Cappella Palatina)があり、左手に王の居間への入口があります。

王の居間
 王の居間(Appartamenti Reali)の入口では、チケットのチェックを行いながら、混んでいるときはちょっとした入場制限のようなことを行っています。ちょっと並んで待つこともあるかもしれませんが、ここは我慢我慢と。
 内部は王の居間にふさわしい豪華な部屋の連続していきます。先ずは「矛槍兵の広間(Salone degli Alabardieri)」から始まり、隣の「衛兵の広間(Salone delle Guardie del Corpo)」、「アレッサンドロの広間(Salone di Alessandro)」へと連続して続いていきます。ここから先ずは右に曲がって「王座の間(Sala di Trono)」の先にある「フランチェスコ2世の寝室(Stanza da Letto di Francesco II)」まで進み、そこで折り返すかたちで見学していきます。ちなみにこの寝室の脇には豪華なバスルームを見ることが出来ます。バスタブも大きな岩をくり貫いて作られたもので、さらに部屋自体も広く明るく、こんなところにこんなに金をかけるってやっぱり豪華ですよね。
 さて、アレッサンドロの広間からここまでが新居館(Appartamento Nuovo)となっており、折り返して行ったアレッサンドロの広間の先が旧居館(Appartamento Vecchio)となっています。ここは手織の布で飾られていて、最初の4部屋は寓意のフレスコが描かれていて、春夏秋冬のそれぞれの部屋となっているそうです。更に進んでいくと、途中には図書室があったりします。そして最期の部屋には、1200体以上の人形で作った巨大なプレゼピオが置かれています。
 公開されている部屋、調度品、最後のプレゼピオとまあ溜息のでるものばかりでした。その規模や豪華さで圧倒され続けました。

庭園
 宮殿の背後、実に3kmに渡って庭園(Parco)が広がっています。しかもこの3kmというのは直線距離にして3kmというから驚きです。庭園の入口は、王宮の正面入口からそのまま直進した突き当たりにあります。ちなみに、この入口のちょっと手前には、レストラン・バールがありますので、手軽に王宮内で食事をしてしまおうという一には利用価値大です。ただ結構混んでいるのでご注意を。
 庭園にはいるとしばらくは真っ直ぐな道を進むことになります。両脇には芝生が繁っていて、そこでくつろぐ人達もいたりします。また芝生の向こうにある林の中にもちょっとした見処があるのですが、それらは後に回すことにして、先ずはメイン街道まっしぐらといった感じで、真っ直ぐに歩いていってみましょう。
 先ずたどり着くのがマルゲリータの泉(Fontana Margherita)です。この泉には噴水があり、その回りを緑が囲み、更にその回りを花が囲んでおり、とても綺麗な泉となっています。
 マルゲリータの泉のすぐ奥にあるヘラクレス橋(Ponte di Ercole)を越えると、目前には上の養魚池(Peschiera Superiore)が広がります。この養魚池は全長475m、幅29mと庭園の中でも最大規模です。本当にどでかい池ですが、養魚池というだけあり、実際に今でも魚が悠々と泳いでいました。そしてこの養魚池の最も上流には、この池に水を注いでいるイルカの滝(Cascata dei Delfini)を見ることが出来ます。イルカといってもまあちょっと妖怪チックにデフォルメされた、ちょっと怪しいかわいさのあるイルカでした。綺麗な彫刻が並ぶ中で、どうしてここだけこんな感じなのだろうか。
 イルカの滝を過ぎるとしばらくは芝生の広がる区間となります。見た目には何もないところですが、実はこの芝生の下に水路が通っており、上の滝から下にあるイルカの滝に水を運んでいるのです。この芝生の下の水路に水を注いでいるのは、風の神アイオロスの滝(Fontana di Eolo)です。この滝には人口の岩礁があり、その上には29体の風の精の彫刻が置かれています。
 更に進むとケレスの泉(Fontana di Cerere)にたどり着きます。この泉にある彫刻のうち、水を吹き出している二つの像はオレート川とシメート川を表しており、彫刻群全体がケレスの泉という名前に由来しているそうです。更に上流に進むと、12層が段々に分かれた水槽があり、その最上部にはヴィーナスとアドニスの泉(Fontana di Venere e Adone)があります。
 この泉のすぐ背後には、王宮の最北端にある大滝(Grande Cascata)がそびえています。この大滝は、女神ディアナアクタイオンの彫刻群がある泉に注いでいます。この泉の両側には階段があり、誰でも上ることが出来ます。登るのは階段が急なのでちょっと大変ですが、登ってみる価値は十二分にあります。一番上からは庭園と王宮を一望することが出来、非常にすばらしいパノラマです。みんな上の方でゼーゼーしながら、息を整えるために休憩しながらパノラマを楽しんでいるので、若干滞留時間は長めです。
 因みにこの滝はもちろん人口の滝です。滝に注ぐ水は、近くの山からわざわざ引いてきているのです。びっくりですよね、まあ昔だからこそ出来たのでしょうね。宮殿・庭園の舞台装置ともいえるこの滝こそ大規模なのかもしれません。

 とても広いので、ずっと歩いていた我々は本当に疲れました。ただ、庭園の内部にはバスが走っているので、往路や復路の片方でこのバスを利用するというのも良いかもしれませんよ。

イギリス庭園
 滝を正面に見た右手には、イギリス庭園(Giardino Inglese)があります。ここを見るためには、チケット売場で予め入場券を買っておかなければなりません。見学は30分ごとに庭園の入口に集まり、そこからガイド付で集団でまわるといった感じになります。なんと、造園時に日本から木が運ばれていたのです。何百年も昔に隠れた国際交流があったとはびっくりです。ちなみに、ガイドツアーは約30分くらいかかります。利用される言語はイタリア語です。
 この庭園が造られた当時イギリスで流行していた「廃園趣味」で作られいるそうです。廃園趣味ってなに?って感じもしますが、まあ実際に見てみると何となくわかるような気がします。

庭園の端の方
 庭園の中心をちょっと西の方に行くと、人気もだいぶ少なくなってきます。そんな中でも大養魚場(Peschiera Grande)は、比較的人がいるところです。その名の通りとても大きな池で、池の真ん中には小島があるほどです。この周囲の道をサイクリングする人もいれば、池の取りに餌をやる人がいたりと、まばらではあるが人影もあり、開けた空間のためにとても明るく感じるところです。
 この大養魚場の南の方に、うっそうと生い茂る木々の中に、ひっそりと八角形の小王宮(Castelluccia)は姿をあらわします。ここに行くまでに道が通行止めになっていたり、木が倒れていたりと、人はほとんどいなかったりと、雰囲気はちょっと怪しい感じ。でも好奇心でずんずんと進んでいってしまいました。ちなみにこの小王宮は、君主たちの気晴らしのために建てられたそうですが、その「気晴らし」って何なんだろう。

歌劇美術館
 宮殿の中庭に歌劇場美術館(Museo dell'Opera)の入口はあります。ここを見学するためにも、チケットは必要ですので、見られる場合はチケット売り場で予め買っておきましょう。見学は何人かまとまって集団でまわっていくといった感じです。
 内部には、この王宮を設計したルイジ・ヴァンヴィテッリが、王宮の建設に先立って作った模型が展示されています。

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